はじめに
私が30年余りの年月をかけてお伝えしてきたことを、現実のものとしてあなたの心で分かっていただくには、ただあなたの実践を必要とするだけなのです。本当のことは、自分自身の心の体験を通して、自分の心で分かってこなければならないのです。
また、心で分かるために、今のあなたがあり、あなたの人生があることを、私達はお伝えしています。
『意識の流れ』と本書に、私達がお伝えしたいことは、すべて網羅しています。どうぞ、この2冊を繰り返し読んでいただければと思います。私達がお伝えしたいこととは何か、ポイントを外さずに読んでいただければ幸いです。
さて、前置きはこのくらいにしまして、本題に入っていきたいと思います。
先に申し上げましたように、『意識の流れ』に、私が申し上げたいことは、すべて網羅しておりますが、今回は、「瞑想」という観点から、真実の世界をもう少し語ってみようと思い、このように『意識の流れ』の続編という形にさせていただきました。
本書の副題に、「最後は瞑想です」、そして、「正しい瞑想をしましょう」と付けさせていただきました。
私達は、自分の思いを伝えたり、考えを述べたりするときに、通常、言葉というものを使用します。以心伝心ということもありますが、伝達手段は言葉です。そして、それらにはそれぞれ万国共通の意味合いがあります。しかし、同じ言葉を用いても、私がお伝えしようとすることを正しく伝達するには限界があって、言葉では的確に表現できない場合があります。
例えば、愛であるとか、優しさとか温もりであるとか、幸せ、喜びであるとかというものは、辞書で定義づけられているものと、私がお伝えしているものとは違います。全く異なるものであるとは言いませんが、真の意味合いが違うのです。
そのことを、あなたの頭ではなく心でお分かりいただくには、ひとつひとつ手順を踏んでいかなければならないのです。そして、最後に行き着くところは、瞑想なんです。それも「正しい瞑想です」ということを伝えたいために、私は、ここに本書を記していこうとしています。
真実の世界が、心で感じられたならば、もう言葉は必要としません。そして、言葉を発しながら、実は、私達は波動を流していることを感じてきます。その波動が明るいか暗いか、または荒い波動なのか、それとも柔らかいものなのか、そのような様々なことが、自分の心で感じてくるのです。
言葉は優しいのに、あるいは態度は丁重なのに、それらとは裏腹なものを感じたりするのは、言葉や態度では、決して誤魔化せない何かがあるからではないでしょうか。
私は、その世界を、波動の世界と伝えてきました。
波動の世界とは、目に見えない世界のことを言いますが、私はその世界が、実在することを伝えてきました。いいえ、目に見えない世界が本物の世界であって、目に見える世界は、その世界の影の世界であることを伝え続けてまいりました。
では、その目に見えない世界を、どのように知っていくのかということですが、それは、「あなたの心で知っていってください。あなたの心でしか分からない世界です」ということも、重ねて申してきました。
本当の世界を心で知っていただくために、私は、セミナーを30年余りにわたり開催してきたのです。
そのセミナーのこと、そして、その様子の一端は、本文に掲載しておりますので、学びの推移および概略は、お分かりいただけるかと思います。
しかし、何よりも大切なことは、『意識の流れ』の本文に繰り返しあるように、「あなた自身の心を見る」ことに尽きるのです。そして、あなた自身を動かしているエネルギーの実体を知っていくことにあります。
そのことを知っていかなければ、あなたは、なぜ生まれてきたのか、何をするために今があるのかということが、分からないのです。そして、そのことが分からなければ、どのように生きていけばいいのか、どのように死んでいけばいいのか分からなくて、結局、あなたは、本当の人生にも、本当の喜び、幸せにも、本当の愛、優しさ、温もりにも出会えないということになります。
自分の心を見て、自分の出すエネルギーの実体を知って、さらに、正しい瞑想を通して真実の世界を知っていくことが本当の人生であると、私は確信しています。
私のこの思いを、「本当のことを知りたい」「人生とはいったい何だろうか」と真剣に考えている人達に、本書を通して、真っ直ぐにお伝えすることができれば幸いだと思っています。
私達は、一人でも多くの人との出会いを心待ちにしています。『意識の流れ』ともども本書も、どうぞ末永く、あなたの側に置いて、これからのあなた自身の指針にされることを、心より願っています。
2010年11月 田池 留吉